人々の伝記やエピソー

随分読んだおかげで、大まかな知識のラフスケッチと地図は身につけることができて、本当によかったと思う。

かつては、死んでからの救いを説く退嬰的な宗教だと思っていた浄土門が、たった今生きている時からの絶対の安心とよろこびを説いた、そして実際にその境地を生きた多くの人がいるものだということが、やっと私にもわかってきた。

浄土門の中で、私が特に心ひかれたのは、法然上人だった。
その絶対の慈悲と安心の境地に、深く心ひかれた。
しかも、それがなんら難しいことではなく、ただ阿弥陀仏の願いを聞いて口に南無阿弥陀仏と称えるだけで達することのできる境地だといい、法然上人は自ら身をもってそれを実践し達成したのだから、「これだ!」と思って、私はしばらく明けてもくれても法然に関連する本を読んでいた。

また、江戸時代の、普通の百姓で、深いよろこびと安心の境地に達した「妙好人」といわれる人々の伝記やエピソードも、とても感じ入るものがあった。
無学なお百姓さんでも、阿弥陀仏の本願をよく聞いて念仏を称えるだけで、それほど深い目覚めの境地に達することができたのなら、自分にもできるかもしれない。
そう思って、浄土門に関連する本を随分読み耽った。