リアルな現実

報告書は、実質賃金の低下がもたらした衝撃について本来なら何か述べるべきことがあったの ではないか。ところが、ただの一言も触れていないのである。

米国で機会がどれほど失われているか、そのリアルな現実を認める気になれない保守派に残されているのは、あの大昔の「犬笛」だけなのだ。ライアン氏は不明瞭だったのではない。あれが彼の持てるすべてだったからこそ、ああ言ったのだ。

さて内容的に秀逸であり的確なこのコラムには大きな二つの問題が在る。
 ここで語られる米国の病巣は市場原理主義のそれであり、それはそのまま日本に重なること。

 そして故にこそ、或いは経済学説の本節として人種差別問題として語られるべきではないのではないかという問題である。

 ただ、このノーベル経済学者たるケイジアンの意見の本質は、勿論、この断片的コラムのみを見ても評価はできない、私も彼の著書「格差はつくられた」を併せ読み彼の思想を(おそらく一定以上は)理解できていると思っている。